【わりやすく解説】ハウスメーカー、工務店、設計事務所の違い【7つの項目で徹底比較します】


マイホームを建てたいとなったときには、ハウスメーカー、工務店、設計事務所のどれかにお願いすることになります。

みなさんはハウスメーカー、工務店、設計事務所のそれぞれにどんなイメージをお持ちでしょうか?

この記事では、それぞれの特徴や違いを7つの項目で比較しながらわかりやすく解説しています。

ハウスメーカー、工務店、設計事務所の特徴や違いを理解し、自分に合ったパートナーを探しましょう。

うりちゃん
うりちゃん

どの会社に依頼するかで、家づくりの9割が決まるで!

ハウスメーカー、工務店、設計事務所の概要

まずは、それぞれの概要を解説していきます。

ざっくりとしたイメージをつかみましょう。

ハウスメーカー

  • 全国的に展開している規模の大きな会社
  • 年間300戸以上の注文住宅を安定して供給できている会社
  • 規格化された住宅を大量に生産、販売するすることで 1 軒あたりの建設コストを下げている。
  • 広告費、モデルハウス、営業マンなどのマーケティングや営業にたくさんのお金を使い、全国から大量の顧客を獲得するビジネスモデルをとっている。

工務店

  • 地域密着型で経営している会社
  • 年間に供給している棟数は20棟程度

工務店には、主にこのような種類があります:

  • 独立系工務店:
    自社で設計・施工・監理のすべて行える工務店です。一般的に家づくりにおける「工務店」はこのタイプを指します。
  • 施工特化の工務店:
    主に施工のみを行う工務店です。自社に設計士はいないことが多く、設計事務所と組むことが多いです。
  • 下請け特化の工務店:
    主にハウスメーカーからの下請け業務のみを請け負う工務店です。みなさんがが家づくりをするときに直接関わることはほぼありません。

設計事務所

  • 主に設計・監理を行う会社です。
    「監理」とは工事が設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することです。
  • 自社で施工ができないため、施工特化の工務店と組むことが多いです。
  • 設計契約と工事契約は別の契約で、設計と施工が完全に分離した形で進みます。

7つの項目で徹底比較

それでは、次に7つの項目に分けて、それぞれ比較しながら解説していきます。

各項目の評価をまとめたものが次の表になります。各項目5点満点で評価しています。

それでは、ひとつずつ見て行きましょう。

設計の自由度

ハウスメーカー 1~2点

ハウスメーカーの設計の自由度は工務店、設計事務所に比べると、かなり低いため1~2点評価となります。

評価のポイント
  • 決められた選択肢の中から選ぶことを指すことが多い
  • 仕様や材料の選択の幅が狭く、プラン上の制約があることが多い
  • 設計の自由度が大幅に制限され、敷地・地域の特徴や、建築主の状況に対する細やかな対応は不得手
ちーろ丸
ちーろ丸

「自由設計」などと謳っている会社もあるけど、実際はどうなの?

うりちゃん
うりちゃん

あくまでも規格やルールの範囲内での自由であり、工務店や設計事務所の自由さとは程遠いと思ってええで!

工務店 4~5点

基本的になんでもありのため、4~5点評価となります。

評価のポイント
  • ハウスメーカーに比べて圧倒的に自由度が高い
  • 設計と施工を同じ会社が行うため、自社が施工しやすい・得意な工法の設計に寄せられることもある
  • 自社で施工するため、工事のプロセスのことも考えて複雑になりすぎない設計をすることもある
ちーろ丸
ちーろ丸

どこの工務店も本当に完全に自由設計なの?

ハウスメーカーのように規格化された住宅プランを持っている工務店もあります。

そのような場合はハウスメーカーと似た特徴となりますが、それでもハウスメーカーより自由度は高いです。

設計事務所 5点

本当になんでもあり。工務店よりも更に自由度が高いため、満点評価となります。

評価のポイント
  • 設計がとても柔軟であり、デザイン性も高い
  • 決まった規格などはなく、建て主それぞれに合った家を毎回ゼロから設計するため、建て主の希望や条件をもりこんだ図面を作ってくれる
  • 外観、形、インテリア、間取り、設備、照明、家具など、あらゆる面で自由度が高い
ちーろ丸
ちーろ丸

不整形な土地や高低差のある土地でも設計してくれるの?

どんな土地でも、その土地に合った設計をしてくれるので、安心してください。

選べる土地の幅が大きく広がるというのも、設計事務所の特徴のひとつといえます。

設計力

ハウスメーカー 2~3点

どんなに実力がある設計者であっても、新人の設計者であっても、社内ルールという制限があるため、良くもも悪くも成果物に差が出にくいため、2~3点評価となります。

評価のポイント
  • 建主への対応として窓口になるのは初めから最後まで営業マン
  • 建築士が建主との打合せに出てくることはあまりなく、営業を介して設計を進める
  • 営業マンがプランニングを作成することが多い
  • どの営業マンに当たるかで、家づくりの満足度に差がでるものの、ばらつきは、工務店や設計事務所に比べて少ない
ちーろ丸
ちーろ丸

ハウスメーカーだとたくさん設計しないといけないから、設計力は勝手につきそうな気がするけど違うの?

ハウスメーカーを飲食店に例えると、ファミレスのイメージです。

大手のファミレスで修行しまくって一人前の料理人になれるのかと考えると、絶対になれないですよね。

メニューは本社が決めますし、材料も全部決まったものが送られてきます。

自分で材料を仕入れることもできないため、素材の知識もつきにくいです。

ハウスメーカーの設計も同じで、たくさん経験を積んでも、なかなか設計力が上がりにくいのが現状です。

工務店 1~4点

担当の建築士によって設計力の差が大きく、優秀な建築士からそうでない建築士までいるため、1~4点評価となります。

評価のポイント
  • ハウスメーカーのように営業マンがプランニングをするということは基本的にない
  • 会社や担当者によって設計力の差が大きいため、良い会社の見極めが重要
  • 設計事務所のような設計専門集団に比べると、設計力は少し劣る

設計事務所 2~5点

工務店と同様に、担当の建築士によって設計力の差が大きいです。

工務店に比べて全体的な設計力は高いため、2~5点評価となります。

評価のポイント
  • 設計事務所だからと言って、全員の設計力が高い訳ではなく、工務店と同様に、担当設計士によって設計力の差が大きい
  • 有名な建築家から、まったく設計力のない人まで様々
  • ハウスメーカーや工務店に比べると平均的な設計力は高い

構造強度・耐震性

ハウスメーカー 5点

構造強度、耐震性に関しては間違いなし!文句なしで、満点評価となります。

評価のポイント
  • ルールを守って、プランニングをしている限り、構造計算をしなくても構造強度が確保できるような仕組みになっている
  • ほとんどの会社が耐震等級3をとれている。ただし一部の会社は耐震等級2の会社もあるため、注意が必要

工務店 1~5点

会社によって、かなりのばらつきがあるため、1~5点評価となります。

評価のポイント
  • 設計が自由な分、構造の脆弱性と背中合わせになっている
  • きっちり構造計算ができる会社とそうでない会社に分かれるので、しっかり見極める必要がある
  • きっちり構造計算をして耐震等級3がとれる会社もあれば、耐震等級1の会社もある

設計事務所 1~2点

構造強度・耐震性まできちんと考えている会社が総じて少ないため、1~2点評価となります。

評価のポイント
  • 工務店より更に設計が自由な分、構造に弱い会社が多い。
  • 工務店同様、きっちり構造計算ができる会社とそうでない会社に分かれるので、しっかり見極める必要がある。

断熱性能、気密性能

ハウスメーカー 3点

ハウスメーカーの断熱気密はここ数年でかなり改善されてきたが、基本的にはまだまだ断熱気密に関しては弱いため、3点評価となります。

評価のポイント
  • 一条工務店やスウェーデンハウスのような満点レベルの会社も存在するが、その他は星3程度の会社がほとんどを占める
  • 断熱性能に力を入れている高い会社は増えてきたが、気密性能はまだまだ低いレベルである

工務店 1~5点

会社によって、性能にかなりの差があるため、1~5点評価となります。

評価のポイント
  • 断熱気密性能に気を使っていない、1~2点程度の会社がほとんど。
  • 数は少ないが断熱気密性能が高いトップランナー工務店が存在する。

設計事務所 1~2点

断熱気密性能にこだわっている会社はほとんどないため、1~2点評価となります。

評価のポイント
  • デザインなどの意匠性を重視する傾向にあり、断熱気密を考えている会社が少ない
  • 建て主が設計事務所に対してそもそも断熱気密を求めていない

品質の安定性

ハウスメーカー  5点

品質の安定性は抜群!文句なしの、満点評価となります。

評価のポイント
  • システム化、大量生産により品質の安定性が高い
  • 同じ会社が監理と施工を行うため、施工のプロセスや工事の進め方を第三者的な立場でチェックする人がいない状態になることが多い
  • ただ、ほぼ規格住宅のため、きっちり監理しなくても勝手にできてしまう
  • ミスがあったときのフィードバックがしっかりしている

工務店 1~4点

会社によって、性能にかなりの差があるため、1~4点評価となります。

評価のポイント
  • 同じ会社が監理と施工を行うため、施工のプロセスや工事の進め方を第三者的な立場でチェックする人はいない状態になることが多い
  • ハウスメーカーと違い、設計自由度が高いため、きっちり監理が必要
  • 近年は建材の加工の多くを安定した環境の工場内で行なわれるため、部材の精度が高く仕上りも均一になっている

設計事務所 3~4点

「監理」が独立して入ることが大きなメリットです。

厳しいチェックにより品質が確保されやすいため、3~4点評価となります。

評価のポイント
  • 施工者が不適切な工事をしないように、プロの目線からチェックしてくれる
  • 設計事務所が信頼できる工務店を紹介してくれる
  • 設計事務所と工務店が親しすぎるなど独立性が低い場合や(キックバックなど受けているなどの)不適切な関係がある場合もある

コストパフォーマンス

ハウスメーカー 2~4点

「標準仕様」から外れるか否かでコストパフォーマンスが変わるため、2~4点評価となります。

評価のポイント
  • 同じような住宅を大量生産し売ることを前提とした工業製品的なビジネスモデルであり、広告費・販売促進費、モデルハウスの建設費・維持費、営業マンの人件費など建てる家に直接かかわらない経費がコストに大きく上乗せされている
  • 建物費用の約 30~50% が営業経費であると言われている
  • 「標準仕様」から外れてしまうと、かなり割高になる
  • 自分たちの要望にぴったり合う商品があれば、大量生産のコストメリットを受けることができる
うりちゃん
うりちゃん

ハウスメーカーを選ぶのであれば、できる限り標準仕様から外れないようにすることが大切やな。

工務店 4~5点

他と比べて、一番コストが安くなる傾向があるため、4~5点評価となります。

評価のポイント
  • 積極的に大規模な広告宣伝を行ったり、住宅展示場などにモデルハウスをつくるなどを行うことはあまりない
  • 小規模な経営であるため工事関係以外の経費が抑えられている
  • 希望するデザインをリーズナブルな価格で実現するために、柔軟に対応してくれることが多い
  • 建物費用の約 15~30% が経費であると言われている

設計事務所 3~4点

工務店に設計料が上乗せされるイメージです。工務店に比べて費用がかかるため、3~4点評価となります。

評価のポイント
  • 設計と施工が別な分、工務店に比べて、コストが高くなる傾向がある
  • ハウスメーカーのマーケティングコストに対して、設計事務所には設計にかかる時間・作業・発想力などに対してお金を払う
  • 建築家への設計料は建築価格の 10~20% ほどであることが多い
  • 工務店(施工会社)の相見積もりをすることができ、建て主にとってベストな施工会社を価格や品質の面から比較していっしょに考えることができる

期間

ハウスメーカー 5点

期間が短いのもハウスメーカーの大きなメリットとなります。文句なしの、満点評価となります。

評価のポイント
  • できる限り家を工業製品化し体制を組織化することで、期間を短縮できる
  • 営業マンの能力が家づくりを円滑に進めるためのキーになることもある
  • 規格化された家は組み立てるのも比較的簡単であるため、プロセスは短くすることができる

工務店 4~5点

ハウスメーカーより多少期間がかかるものの、比較的短い時間で家を建てられることが多いため、4~5点評価となります。

評価のポイント
  • ひとつの会社が、設計、施工を行うため、期間を短縮できる
  • 工務店が用意している規格住宅を建てる場合は、ハウスメーカー同様に短期間で建てることができる

設計事務所 2~3点

それぞれの建て主に合ったデザインを毎回考えるため、家の完成までにかかる時間は長くなる傾向にあります。2~3点評価となります。

評価のポイント
  • 設計をはじめてから家が完成するまで、12ヶ月~18ヶ月かかるのが一般的
  • 人気の設計事務所だと、設計開始まで1年待ちというところもある
  • 要望や条件に合わせて打合せを繰り返し、互いに試行錯誤してコミュニケーションを行いながら設計を進めるためハウスメーカーや工務店と比較して、設計期間が長くなる

あなたにぴったりなパートナーは?

いかがでしたでしょうか。

それぞれの特徴がイメージできたのではないでしょうか。

では、ハウスメーカー、工務店、設計事務所それぞれどんな人におすすめできるかをまとめていきます。

ハウスメーカーはこんな人におすすめ

  • プランやデザインよりも安心感を求める人
  • 入居までの時間がない人、家づくりを一気に進めたい人
  • 営業経費を掛けたことによるブランド名に魅力を感じる人
  • 無難に平均点ちょい上の家を建てたい人

あなたに合ったハウスメーカーを知りたい方は、ハウスメーカーの登録件数が多い相談窓口で探すのがおすすめ。

工務店はこんな人におすすめ

  • プラン(間取り)やデザインにこだわりたい人
  • 住宅性能にこだわりたい人
  • 工務店探しが苦じゃない人
  • 高得点の家を低コストで建てたい人

あなたに合った工務店を知りたい方は、工務店の登録件数が多い相談窓口で探すのがおすすめ。

設計事務所はこんな人におすすめ

  • プラン(間取り)やデザインにこだわりたい人
  • 変形敷地など条件が特殊で設計力を必要とする人
  • 他にはない唯一無二の家を望む人
  • オーダーメイドの家づくりを楽しみたい人
  • 時間と手間を主体的に楽しむことができる人

あなたに合った設計事務所を知りたい方は、工務店の登録件数が多い相談窓口で探すのがおすすめ。

まとめ

それでは、まとめいきましょう!

今回は、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の違い7つの項目で比較しながら解説してきました。

安定性が魅力のハウスメーカー。

デザイン、性能、コストのすべてにおいて最高点を狙える無限大の可能性が魅力の工務店。

とにかく、オンリーワンの家づくりが魅力の設計事務所。

それぞれ魅力があります。あなたはどれが魅力に感じましたか?

具体的な住宅会社選びの方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

家づくりは焦ってはいけません。

しっかり勉強して、最終的には「本当に満足した」といえる家づくりを目指していきましょう。

それでは、今回もありがとうございました。

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